『だんでらいおん』に感じた「銀魂イズム」
――原作を読んだ感想と、出演が決まった時の心境はいかがでしたか。
小林:『銀魂』のアニメには、声優になりたてくらいの時に1回だけ出たことがあって、その時に『銀魂』は読んでいたのですが、『だんでらいおん』は読んだことがありませんでした。
今回の出演にあたって初めて『だんでらいおん』を読んでみて、すごく「銀魂イズム」を感じました。描かれている哲学も『銀魂』に通じるところがあり、“『銀魂』の原風景”といいますか。空知先生はこういうお話が本当にお好きで、先生の心情がそのまま投影されているんだろうなと思える素敵な作品でした。なので、出演することができて本当に嬉しかったですね。
潘:私は中学2年生の時、『銀魂』のコミックス1巻の初版で『だんでらいおん』を読みました。
これが空知先生のデビュー作なのだと思うと、「銀魂イズム」はここから始まっていて、『銀魂』のキャラクターたちの“魂のふるさと”が『だんでらいおん』なのかな、という印象でした。
私、声優デビューした時に『銀魂』に関わっている先輩が事務所に多かったんですよ。なので、いつか『銀魂』に出演したい!と思っていたのですが、全くご縁がなくって。
なので、まさかこういう形で『だんでらいおん』がアニメ化して、しかも1話ではなく全7話でやるということで、美咲役に決まった時は死ぬほど嬉しかったです。いろいろな願いが叶って成仏しそうでした(笑)。
現場での掛け合いの中でキャラクターの関係性が見えていった
――鉄男と美咲を演じる上で意識したポイントはどこでしょうか。
小林:あまり「こうしようこうしなきゃ」っていうのはなかったかなと思います。あえて言うなら、ギャグと真面目なシーンのギャップが大きいので、真剣なシーンではちゃんと「何に対して怒っているか、向き合っているのか」を意識しました。
実は出演が決まる前に脚本を読んでみて「テンション上げていかないと無理だろこんなの!」と思ってオーディション用のテープを録りました。しかし、送ったあとにそれが戻ってきて「あまり銀魂っぽくない演技のほうも聞いてみたいです」と言われました。僕は「銀魂っぽくないって何!?」と思ったんですけど(笑)。
そこで真面目で落ち着いたトーンの演技も聴いていただくことになって、その後に出演が決まったんです。でも、実際に収録が始まってアフレコをやってみたら全然落ち着いてなかったですね(笑)。
でも基本は会話が面白いし、キャラクターの個性もみんな強いので、キャッチボールをしているだけでどんどん話が転がっていきました。
例えば、「たんぽぽ組」メンバーをはじめ、「日本天使連盟送迎部」のキャラクターたちとの関係性などは文章だけで読むとわからない部分も多かったのですが、現場に行って皆さんの演技を聞いてはじめて「あぁ、実際この人はこういう人なんだな」と立ち位置がわかったんです。
関係性や掛け合いの温度感などについては、現場で生まれた部分がものすごく多かった気がしています。
潘:私もオーディションのテープを送る時に悩みましたね。どんな美咲を求められているのか、ギャグのテイストも大事にしたいし、デフォルメしたほうがいいのかな?と思いながらも、ナチュラルに魅せていきたいという方向性もあるのかな?などなど。
美咲って、他のキャラクターたちの掛け合いを見ているシーンが結構多いんですよ。実際の収録では、そんな中で、自分の番が来た時にいつでも返せるように、ずっと集中して入るタイミングを伺っていました(笑)。
感覚としては、「大縄跳び」で待機している時にも似ていて「みんなで引っかからないように心を合わせて飛ぶ」みたいな。ただ実際に飛び込んでみるとすごく自由で、「あまり意識せずに、純粋にこのやり取りや空間を楽しもう」という気持ちに変わりました。
鉄男と一緒に組んでいることもあり、テツについて行けるところはついて行きつつ、逆にぐわっと強引にテツを引っ張っていくこともできるエネルギーを持てるように意識していました。
正樹はツッコミ役のしっかり者かと思いきや
――演じる中で、キャラクターたちの見え方に変化はありましたでしょうか。
小林:見え方の変化はけっこういろんなキャラクターにあったのですが、特にメインの鉄男、美咲、そして宮野真守さん演じる京河正樹の3人については、それぞれ話が進むごとに「こんな一面もあるんだ」という発見がありました。
鉄男は割と適当で、割り切って仕事をする奴なのかと思いきや、多少わがままでもちゃんと霊の願いを聞いて付き合ってあげる面倒見の良さもあるんだな、とか。
潘:美咲についてはやっぱり4話ですごくわかることが多かったです。美咲の背景のエピソードを知ったことで、「そうか、だから美咲ってこんなに強くて優しいんだ」という理由がわかったのがよかったです。
美咲は年齢こそ子どもですが、にしても聞き分けが良すぎますよね。自分が美咲くらいの年齢だった時はとてもそうはなれなかったので、「できた娘だなぁ」と思いました。正樹よりも余程しっかりしています。(笑)
――正樹のキャラクター像も印象が変わっていったのでしょうか?
小林:最初は正樹がツッコミ役で、割としっかり者という感じだと思っていたのですが、彼の内面が見えた時に印象が変わりました。もう純粋に、中身が中学生ぐらいで止まっていて、ちゃんと愛情を受けて育ってこなかったんだろうなっていう過去が滲んでいるような気がして。それがわかると、「コイツ、可愛いやつじゃん」となりましたね(笑)。
美咲も鉄男もわりと達観したキャラクターなので、正樹に対しては後輩というよりは、もう「子」のような温かい目で見ていました。正樹が家庭で得られなかったものをたんぽぽ組で育めたらいいな、という。『赤毛のアン』みたいな、我々は正樹の預け先です(笑)。
潘:私も、まさか正樹に対して鉄男と美咲が保護者みたいな立ち位置になるとは予想していませんでした。
鉄男も美咲も達観していると言っても不器用なところがあるから、正樹が本当にやろうとしていることに気づけなかったりもするのですが、その不器用さも込みですごく人間らしいなって思いました。
『だんでらいおん』のメインの登場人物は天使と霊ですが、全体的に「生きてる人よりも、人間らしい人たちの話」だなと感じています。みんなそれぞれ「人の痛みがわからない人じゃない」といいますか、思いやりの筋が1本通っていて、心根が優しい人たちなんですね。
アドリブがめちゃくちゃ多い収録現場だった
――収録で印象的だったポイントを教えてください。
小林:まず、アドリブがめちゃくちゃ多かったことですかね。声優陣による自発的な“ぶっこみ”もありましたし、制作サイドからも「その会話のアドリブ、続けてください」と求められることもありました。とにかく毎話誰かしら何かアドリブをやる、というテンションでした。
潘:私もアドリブで喋ったことがほとんど全て採用されてびっくりしました(笑)
小林:「これ視聴者の方わかるのかな?」という細かいアドリブも多いです。何度も見返してもらって探してほしいです。
――アニメ『銀魂』でキャラクターを演じられた声優の皆さんも多く出演されていますね。
小林:まず『銀魂』で志村新八役だった阪口大助さんが出た時は超面白かったですね。「なんか事務所から老人役で出ろって言われてぇ……俺、老人役なんてやったことないよぉ!俺ぇ?」って言っていて(笑)。
でも実際はすごく見事に演じられていて、阪口さんこういうキャラクターもやられるんだと、とても新鮮でした。
潘:『銀魂』で坂田銀時役の杉田智和さんも出演されていますが、あのセリフであの言い回しは……もう杉田さんにしか思い浮かばないなと思いました(笑)。
だって原作に登場しているのは、たった一コマ。「この人はどういう人なのか」全然わかんないんですよ!なんとなく声は低そうだけど……くらいのイメージはありましたが、喋り方までは全く予想できなくて。
小林:収録中みんなずっと思ってたと思いますよ、「この人なんでカタコトなんだろう……?」って(笑)。演じるにあたり、制作サイドからキャラのディレクションは皆さん受けていなかったので、あれは完全に杉田さんがオリジナルで用意したものでしたね。
幅広い世代に楽しんでもらいたい作品
――最後に『だんでらいおん』はどんな作品か、一言で表すと?
小林:いやー、一言で言い表すのは難しいですね。まず、本当に「誰が見ても面白い作品」だと思います。でもって、なぜか泣ける。これがすごいとこだなと思うんですよ。『銀魂』もそうですけど、なぜか泣けるっていうのが。
疲れている時に見ても楽しめるし、キャラクターたちも愛おしいし、見どころもとてもある作品なので、ぜひ何度も見ていただければ嬉しいです。
潘:この作品は観る人のボーダーラインがなく、とても自由な作品だと思っています。
世代によって、共感する部分や分かち合えることが異なってくると思うので、今子どもの人が将来親になって、さらにおじいちゃんおばあちゃんになっても見返して楽しんでいただけるんじゃないかなと。時代が移ろい変わっても変わらないものが、そこにあるから。本当に幅広い世代に、自由に楽しんでほしいですね。
Netflixシリーズ『だんでらいおん』
配信開始:2026年4月16日
原作:「だんでらいおん」空知 英秋(集英社ジャンプコミックス「銀魂」第1巻所収)
監督:又賀 大介
出演:小林親弘、潘めぐみ、宮野真守ほか
アニメーション制作:NAZ



